ボランティア学研究
Online ISSN : 2434-1851
Print ISSN : 1345-9511
アフリカにおけるボランタリークラスの正当性と教育権について
マラウイの初等・中等教育を事例として
川口 純
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 15 巻 p. 99-109

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抄録

本研究は、アフリカで広範に実施されている非正規のカリキュラムである「ボランタリークラス(Voluntary class)」に焦点を当て、その存在意義を検討したものである。特に、本稿ではマラウイの初等・中等教育を事例とし、ボランタリークラスの「正当性」と「教育権」の2つの観点を中心に検討した。現在、マラウイを初めとする多くの途上国においてはEFA(Education for All: 万人のための教育)達成に向けた量的拡大を優先する政策の影響により、教育の質が断続的に低下している。このような状況に鑑み、教育の供給側(教員、政府)は、正規課程の授業で応えきれていない教育の需要側(保護者、児童)のニーズに対してボランタリークラスという非正規の教育形態を駆使し、教育需要を満たそうと試みている。しかしながら、ボランタリークラスの実施を個別にかつ、有償で実施している実態が確認され、さらに正当性と教育権の保障との兼ね合いの中で、教師が葛藤する様相が明らかになった。

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2015 国際ボランティア学会
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