カブの生育に及ぼす構造物の被陰の影響について, モデル化を行い, その結果に基づいて考察を加えた。各調査時における積算光量子束密度と全乾物重, 地上部乾物重, 地下部乾物重および葉面積とは直線的な関係となることを確認した上で, 積算光量子束密度と各調査項目の関係を示す回帰式の回帰係数および回帰定数の経時的変化について近似する多項式の次数を調査項目ごとに選択した。さらに各調査項目の生長については対数変換値を2次式により最も有意に近似することが認められたことからモデル化を行った。モデルにより得られた計算値はほぼ実測値に近く, このモデルは高い精度をもっているものと考えられる。モデルによって得られた結果から, 光合成器官である地上部では, 生育前期に被陰の影響がみられたものの, 生育後期にはほとんどみられなくなった。一方, 非光合成器官である地下部では被陰の影響は生育後期に大きく現れた。全乾物生産については被陰の影響を受けたが, その程度は生育期間を通じてほぼ一定であることが示された。