下水道協会誌
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フランスの下水道事業に関する法定PIの役割~管路管理政策の促進とベンチマーキングとしての活用~
山本 整大塚 亮介萬代 和也加藤 裕之
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2022 年 59 巻 716 号 p. 115-121

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抄録

 フランスの下水道事業では,人口3,500人以上の事業に対して全19の指標を法定PI(Performance Indicators)として毎年登録することが地方団体総合法典CGCTの中で規定されている。この法定PIは,行政的公施設法人であるフランス生物多様性局(OFB:旧ONEMA)がSISPEAデータベースシステムの中で管理・蓄積している。本文では,SISPEA登録データを用いて,管路管理の基礎となる管路属性情報や維持管理情報の登録状況並びに下水道管路施設管理に関する得点の仕組みの把握を目的に,法定PIのうちP202.2B指標(下水道管路網の現状評価及び資産管理状況)について分析を行うとともに,D204指標(下水道使用料)と関連付けたベンチマーキング事例検討を行った。この結果,P202.2B指標は,管路管理の基礎となる管路計画や管路属性情報の整備を基本とした得点となっており,管路管理に関する情報管理の状況を評価できる指標として合理的な指標であると考えられた。日本においても,統一された共通の業務指標を定めることで,効率的な下水道事業運営に向けて様々な方面での活用が期待される。

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© 2022 公益社団法人日本下水道協会
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