管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌
Online ISSN : 2434-0529
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特別講演
地域金融機関が見た中小企業の軌跡―~震災,コロナ,その先へ~―
庄司 大志
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2024 年 32 巻 2 号 p. 3-16

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抄録

東日本大震災の被災地である宮城県女川町では,民間が中心となり人口が増えない前提での復興・町づくりに向き合ってきた.その取り組みは人口減少が進む日本全体の再生にとって参考となるだろう.地域企業は震災による諸々の課題を抱えながらも復興を果たそうとする途上で新型コロナウイルスに見舞われた.取引先の業況悪化が懸念される状況下で金融機関が支援を継続するためには経営改善計画の策定が効果的である.

震災後,女川では主力商品や繁忙期の異なる2社が組んで設立した中小企業が,町全体を考えたバリューチェーンによる地域水産業の6次化を実現し復興の牽引役となった.当該企業は管理会計に基づき各種計画を策定し,金融機関の理解と支援を得ながら震災やコロナを乗り切ってきた.人口減少を背景に不確実性を増す環境下において生き残るためには,中小企業といえども管理会計を構築し,経営(改善)計画を持つことに大きな意義がある.

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