日本歯科医学教育学会雑誌
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研究報告
広島大学歯学部における日英両言語教育システムの評価―5年間の学生の授業内容理解と認識変化―
岡 広子二川 浩樹谷本 幸太郎加藤 功一
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2018 年 34 巻 2 号 p. 49-54

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抄録

抄録 広島大学歯学部歯学科では, 平成24年度歯学科第2学年から開始した日英両言語教育システム (dual linguistic education system) による授業で, 海外からの留学生と6年間の歯学プログラムの学生がともに学んでいる. 平成24年度から平成28年度までの間に実施した質問紙調査では, 教員は日本語と英語で同等の授業資料を準備するとともに, 学生の内容理解の低下を懸念して, それぞれに自己学習や学生の理解を促す取り組みを行っていた. また, 質問紙に回答した6年間プログラム学生の7割以上が, 「最終的に授業内容を理解できた」 と答えていた. さらに, 学生の 「最終的に授業内容を理解できた」 との回答は, 「授業中の教員の説明を理解できた」 および 「復習をよくした」 との回答と有意に関連しており, 学生の最終的な理解は復習を主体とする自己学習によってもたらされていると考えられた. 加えて, システムの意義についての学生回答は, 終了学期 (第5学年前期) には 「世界にも目を向ける機会の提供」 「専門家として必要なコミュニケーション能力の向上」 「よくわからないが時代の流れ」 「英語の壁の解消」 「専門家として必要な自己研鑽・自己啓発への動機づけ」 となり, 学年進行とともに波及効果を含めたシステムの意義を認識しつつあることが示唆された.

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