日本鉱業会誌
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銅活性人工閃亜鉛鉱に対する亜硫酸塩の抑制作用について (第1報)
松岡 功久保田 友信下飯坂 潤三
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1969 年 85 巻 971 号 p. 175-179

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抄録

以上, 銅活性人工ZnSを用いて亜硫酸塩の抑制作用についての実験結果をまとめると.
(1) 銅活性化人工ZnSに対する亜硫酸塩の抑制効果はパルプ中に金属イオンが存在しない場合にはほとんど認められず, その場合, 脱銅, 脱ザンセートも認められない.
(2) 銅活性人工ZnSに対する亜硫酸塩の抑制効果は硫酸亜鉛を添加するとき, 中性pH付近で顕著に認められ, その場合, Zn2+/SO32-の比がほぼ1に近いようなときにもっとも抑制効果が著しい.
(3) 銅活性人工ZnSに対して硫酸亜鉛と亜硫酸ナトリウムを添加する場合, 中性付近においそ若干の脱銅が認められるが, 吸着銅量に比して少なく, 抑制の原因とは考え難い.
(4) 亜鉛イオンと亜硫酸イオンは反応して亜硫酸亜鉛が沈殿生成されるが, 亜硫酸亜鉛の生成は中性pH付近においてもっとも行なわれやすく, 抑制効果の認められるpHとよく対応している.
以上の実験結果より, 銅活性人工ZnSに対する亜硫酸亜鉛の抑制作用は, 脱銅ということではなく, 親水性の亜硫酸亜鉛がZnS表面に沈着することに起因すると考えられる.

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© The Mining and Materials Processing Institute of Japan
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