災害情報
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[論文]
避難情報伝達実験に基づいた情報伝達手段と情報伝達特性に関する考察
鈴木 猛康
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2015 年 13 巻 p. 48-56

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抄録

豪雨災害において円滑な住民避難が行われるためには、気象観測、気象警報、自治体の避難判断、避難情報の伝達、避難情報を受け取った住民の避難行動等、多くの段階があり、各段階に様々なハード技術とソフト施策が関与している。本論文は、この中の自治体の避難情報伝達に着目し、情報の送り手である市町村の用いる伝達手段の種類や工夫が避難情報伝達に及ぼす効果を、情報伝達における迅速性、正確性、確実性という3つの特性によって評価することを提案している。

新潟県見附市の平成25年度総合防災訓練では、複数の情報伝達手段を用いた避難情報伝達実験が行われた。この機会を利用して、筆者は防災訓練の当日に見附市内にいた高校生以上の市民を対象としてアンケート調査を行い、4つの情報伝達手段と情報伝達特性との関係を分析することを試みた。定型文を用いたエリアメールによる避難情報伝達を迅速性、正確性を有する基準と考え、アンケート結果より防災無線のスピーカーからの音声放送、サイレン吹鳴、一斉同報メールの情報伝達特性を評価した。その結果、エリアメールは迅速性と正確性を兼ね備えた情報伝達手段であることが確認できた。また、情報伝達において迅速性、正確性、確実性の3つの特性を確保するために、確実性の高いサイレン吹鳴とエリアメール等、複数の情報伝達手段の併用が必要との結論を得た。

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© 2015 日本災害情報学会
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