2016 年 30 巻 4 号 p. 216-233
本稿では視覚化によって言語研究を推進する発想と技法について論じる.数値データをグラフや地図によって目に見える形にすることによって,データの構造が読み取りやすくなり,かつ新しい発想が生まれることがある.多変量解析法を適用することによってデータの内部構造が明らかになるが,いったん構造が分かれば,もっと単純な集計でも内部構造を示しうる.理論や仮説を検証するための研究もあるが,得られたデータそのものに語らせる研究も必要であり,それには分析技法と結果の表示(視覚化)技法が有用である.