日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
Print ISSN : 0287-301X
症例報告
精神科第23条 適応・判断に苦慮した事例
飯塚 薫植草 義史加藤 ゆみ子田崎 龍治大友 龍二渡辺 裕佑小川 貢
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2023 年 44 巻 4 号 p. 393-396

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抄録

双極性障害 (躁鬱病) の傷病者が自傷行為を行い, 同居する娘より頻回の救急要請が繰り返されていた。この事例の発生前後に, 消防・警察・市役所・社会福祉協議会などの機関が長期間にわたり, 協議・対応を行っていた。また, 専門医療機関でも, 傷病者の受入対応に苦慮していた。過去に自殺企図があり, かつ, 救急車の頻回利用者である傷病者を地域社会でどのようにフォローアップしていくか模索をしている最中に, 今回の自傷他害事例が発生した。各関係機関で円滑に傷病者の情報が共有できていれば, 対応は変わっていたのかもしれない。この事例を通し, 早急に各関係機関との協力・支援体制を構築する必要性がある。精神科救急活動の根幹は, 一般救急と同様に, 共通言語・認識の標準化である。今後, 行政機関が中心となり, これらの標準化を図り, 傷病者やその家族が円滑に社会復帰できるシステムおよび体制強化を構築したい。

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