本研究の目的は松葉杖歩行時の握りにかかる荷重の解析により、手掌部の疼痛の発生部位や発生原因を究明することである。若年健常成人男性19名を対象に、握りに6個の圧力センサを配置した計測用松葉杖を用いて片松葉杖歩行(2点1点歩行、前型)を実施し、その間の6個の圧力センサにかかる荷重を計測した。計測された荷重値より松葉杖立脚期における最大荷重時の6個の圧力センサ間に差があるか否かを検討した。また各センサの荷重割合を比較するため、最大荷重時の各センサにかかる荷重の割合(荷重率)を算出した。その結果6個の圧力センサ間に差を認め、握りの一部に荷重が集中することが分かった。さらに荷重率より荷重が集中する部位は握りの後方であることが分かった。以上のことから松葉杖歩行における松葉杖立脚期の最大荷重時では、手掌の一部に荷重が集中する場合が多く、荷重が集中する部位は主に手掌尺側部であることが示唆された。