受験者の回答に影響を与えるものとして,設問などテストの構造的性質のもつ影響力は非常に大きい.十分な信頼性や妥当性を備えた設問でなければ,そこから得られたデータに歪みが入ってしまい,適正に能力を評価することができないからである.研究1では,日本と韓国の中学生に実施された群馬県児童生徒学力診断テストの国語読解テストに関して,項目分析の結果から正答率及び識別力の低い設問の検討を行った.研究2では,設問設定を変えた4種類のテスト冊子を用いて,図の提示法が能力評価にどのような影響を与えるかを検討した.その結果,図の空所に相対する2つの単語を記述する設問では,本文に書かれている単語の順序どおりに空所を配置することが,正答率及び識別力に最も影響を与えることが示唆された.