2016 年 67 巻 1 号 p. 1-6
障害された嚥下機能を補い誤嚥を消失あるいは軽減させ経口摂取を可能にすることを目的とした嚥下機能改善手術と,誤嚥性肺炎を回避することを目的とした誤嚥防止手術は,嚥下障害に対する外科的治療として近年広く認知されるようになってきた。気管と食道を分離し誤嚥を防止する手術を総称して誤嚥防止手術と呼び,その適応は重度誤嚥患者に限られる。今回われわれは2013年11月から2015年3月までの16カ月間に鹿野らによって報告された輪状軟骨鉗除を併用する声門閉鎖術を重度誤嚥患者8症例に対して施行し良好な結果を得たので症例呈示を含め報告する。