日本気管食道科学会会報
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症例報告
頸部胸腺癌の1例
佐藤 暢人森川 利昭石川 慶大大竹 節之小原 修幸愛宕 義浩古田 康近藤 哲
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キーワード: 頸部胸腺癌, CD5, 異所性胸腺
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2005 年 56 巻 4 号 p. 365-368

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抄録

症例は34歳の男性。嗄声を主訴に近医を受診し, 頸部腫瘤を認めたため当院紹介受診となった。超音波検査, CT検査で甲状腺左下葉から尾側に連続して, 径3.0 cm大の腫瘍病変を認めた。吸引細胞診では悪性を疑う所見であった。甲状腺悪性腫瘍の診断で甲状腺左葉峡部切除術を施行した。肉眼的には, 腫瘍は甲状腺外に中心をおき, 一部で甲状腺実質に浸潤していた。組織学的には, 上皮系腫瘍細胞が増殖する像を認め, 免疫染色ではCD5陽性であった。また, 腫瘍周囲に胸腺組織を認めた。以上の所見から頸部胸腺癌と診断し, 拡大胸腺摘出術, 放射線治療を追加した。
頸部胸腺癌は過去に報告が少なく, 稀な疾患を経験した。また, その確定診断にはCD5が有用であった。

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