2004 年 55 巻 6 号 p. 433-438
自家脂肪声帯内注入後におこる脂肪の減量を防止,あるいは脂肪再生の可能性について,注入脂肪を細胞増殖因子である塩基性線維芽細胞増殖因子とともに投与し,その効果を検討した。イヌの反回神経麻痺モデルを用いて,声帯内に自家脂肪を線維芽細胞増殖因子とともに注入した例では,注入した脂肪組織内に紡錘形の未熟脂肪細胞がみられた。しかし,自家脂肪のみを注入した例では,同様の所見はなかった。線維芽細胞増殖因子の作用により,注入した脂肪組織内で脂肪細胞の増殖がおこる可能性が推定された。