2004 年 55 巻 4 号 p. 352-356
機能性副甲状腺嚢腫の1例を報告した。症例は72歳の女性であり,左頸部に径50 mm大の可動性を有する腫瘤を触知した。血清カルシウムは12.0 mg/dl,インタクトPTHは200 pg/mlと副甲状腺機能亢進を呈していた。超音波,CT,MRIにより左頸部から上縦隔に達する2房性の嚢胞性病変が描出された。腫瘤は甲状腺左葉背側に存在し気管を大きく右側へ圧排していた。摘出手術を行ったところ,術後血清カルシウムとインタクトPTHは正常化した。摘出標本の病理組織学的検査により副甲状腺腺腫の嚢胞性変化と診断された。