2003 年 54 巻 4 号 p. 318-321
頭頸部癌に対して放射線治療を含む集学的治療を行った後,長期経過後に鎖骨壊死を生じた症例を2例経験した。いずれの症例でも腫瘍の再発,転移はなく,放射線骨壊死と診断した。2症例とも照射量は60 Gy以下であり,過剰線量照射例ではなかったものの,長期経過後に放射線骨壊死を発症しており,放射線照射症例に対しては長期の経過観察が必要と考えた。1例は鎖骨壊死より生じた膿瘍の波及により鎖骨下動脈破裂を生じ死亡したが,1例は鎖骨周囲の病巣郭清および大胸筋弁,DP皮弁を用いた一期的再建術を行い良好な結果を得た。放射線骨壊死症例に対しては,早期に広範な腐骨除去を中心とした手術が必要と考えた。