2003 年 54 巻 3 号 p. 219-222
高位気管切開が誘因となった気管カニューレ抜去困難症の2症例を経験した。2症例ともに,他院脳外科医によって気管切開を受けたあとより症状が発現し,再建手術の所見,CT所見で,輪状軟骨の欠損および同部周囲の狭窄を認め,高位気管切開が原因と考えた。
2症例ともに,喉頭気管皮膚瘻を用いた段階手術を計画した。2症例とも経過良好で,1症例は喉頭気管瘻閉鎖後約1年経過したが,再狭窄は認めていない。1症例は呼吸機能の問題で喉頭気管皮膚瘻は閉鎖していないが,気管狭窄は認めていない。
気管喉頭狭窄を伴うカニューレ抜去困難症に対しては,喉頭気管皮膚瘻を用いた段階手術は安全かつ確実な方法と考えた。