日本気管食道科学会会報
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病例報告
小児喉頭異物3症例
守本 倫子川城 信子土橋 信明
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2003 年 54 巻 3 号 p. 208-213

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抄録

小児の声門部異物1例および声門下異物2例を経験したので,文献的考察を含め報告する。1例目は9カ月男児,プラスチック片の声門部異物で,発症当日に摘出された。2例目は1歳1カ月の女児で突然の咳嗽のため他院で仮性クループとして治療を施されたが,発症翌日喘鳴が増悪してきたため当科受診した。エビの尻尾が声門下に嵌頓しているのを認めたため摘出した。3例目は2歳8カ月の女児,ピスタチオナッツの殼による声門下異物を認め摘出したが,喘鳴が続くため喘息の診断のもと7カ月間治療を行った。その後の再精査の結果,殼の一部が残存していたことが判明し,摘出したところ喘鳴は消失した。小児では十分な問診が行えず,診察の協力も得られないため,喉頭異物の発見が遅れることがある。したがって小児の喘鳴,嗄声,咳嗽では異物の可能性を念頭に置き,喉頭ファイバーと頸部単純X線写真による異物の検索は必須である。また,異物摘出後も喘鳴が持続する場合は異物残存の可能性を考慮し,再検索する必要がある。

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