日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
Print ISSN : 1349-5755
臨床研究
機械的腸管処置を行わない大腸切除術の成績
池永 雅一安井 昌義三嶋 秀行太田 勝也上田 正射加藤 亮家出 清継津田 雄二郎中島 慎介松山 仁遠藤 俊治山田 晃正
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2019 年 16 巻 4 号 p. 217-221

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抄録

大腸癌手術での機械的腸管前処置(mechanical bowel preparation:MBP)について,周術期管理の見直しを行う過程で,術前MBPを順次省略・変更することを行ったので,その成績につき大阪医療センターでの経験を報告する。第1期(全症例MBPなし)では手術部位感染(surgical site infection:SSI)は19例中7例(36.8%)であった。第2期(直腸のみグリセリン浣腸)では,17例中3例(17.6%)であった。ともに直腸癌症例で縫合不全を発症し重篤化した。第3期では直腸癌症例にMBPを開始したところSSIを認めなかった。しばらく継続して症例を重ねると,第3―5期(直腸にMBP)ではSSIは125例中14例(11.2%)であった。重篤な合併症はなかった。結腸癌症例ではMBP省略が可能と考えられる一方で直腸癌症例では,縫合不全など合併症を併発すると重篤化することがあり,MBPは必要と考えられた。

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© 2019, 一般社団法人 日本外科感染症学会
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