Papers in Meteorology and Geophysics
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モデル雪粒子と雲粒間の衝突率の研究(II)
雪片の落下姿勢の研究
佐粧 純男
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1977 年 28 巻 4 号 p. 159-168

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抄録

雪結晶が過冷却雲中を落下するとき,雲粒あるいは,他の雪結晶と衝突併合して,雲粒付結晶,あられ,雪片などの降水粒子に成長する.この併合速度は粒子間の相対速度,衝突率など粒子の落下運動や形に関係する.雪粒子の落下運動は,一般に不規則な水平運動と落下姿勢の変化を伴ない,雲粒や雨滴にくらべて,はるかに複雑である.これらの二次運動は,いずれも粒子間の併合を促進する傾向をもつと考えられる.即ち,水平運動は,粒子間の水平相対速度に依る衝突をあらたにひきおこし,落下姿勢の変化は衝突率を増加させru.
水平運動による併合の促進については,いままでにも若干の研究が行なわれているが,落下姿勢の変化による衝突率の増加に関しては,殆んど研究が行なわれていない.
この姿勢効果を評価するため,雪片の落下姿勢をステレオ写真解析した.得られた結果は次の通りである.
1)観測した雪片の質量は5mg~15mg,各粒子の平均落下速度は75cm/sec~130cm/sec.であった.
2)落下姿勢の変化は,重心の周りの不規則振動で示され,その振巾は,最大35°に達したが,多くの雪片は,5°前後の振巾で,振動しながら落下していた.
3)振動の角速度の頻度分布は,垂直,水平成分共2つの極大をもっていた.
4)垂直軸のまわりの角速度のモードは,0~2.5rad/sec及び7.5rad/sec~10.0rad/secで,平均角達度は3.45rad/sec即ち,毎秒1/2回転程度であった.
5)水平軸の周りの角速度のモードは5.0rad/sec~7.5rad/sec及び17.5rad/sec~20.0rad/secで, 平均9.85rad/secで垂直軸のまわりの角速度の約3倍であった.
6)雪片にくらべて,単一雪結晶の姿勢の変化は,振巾,角速度共大きい傾向を示した.

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