Papers in Meteorology and Geophysics
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松代地震の発震機構について
高木 聖
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1968 年 19 巻 2 号 p. 309-322

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抄録

1965年8月中旬より始まった松代地震は地下の岩しよう溜内の岩しようの活動によって起ったものであり,その岩しよう溜も3つ存在し,Fig.8に示したようになっている。これらの内,まず,松代岩しよう溜が活動を始め,その岩漿が地表への出口を求めて上昇して来たが,ついに地表に現われなかった。そのため,皆神山を下方から衝き上げ,南西に傾けてしまった。そうして,西条地区に東西の地割れを生じたものである。この活動の間に,隣接した若穂岩しよう溜も活動を始め,次に大峰岩しよう溜も活動したため,見かけは複雑な現象を呈したのである。これらの活動の原因は,岩しよう中に含まれる発熱原素(Th,U,Ra等)の熱エネルギーの蓄積によると考えられる。したがって,皆神山が沈下傾向を取るようになれば,活動は終末に近づいていると考えてよい。

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© 気象庁気象研究所
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