日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
原著
在宅で医療的ケアが必要な障害児を育てる母親の蓄積的疲労の特徴
宮﨑 つた子木村 めぐみ
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 43 巻 3 号 p. 425-432

詳細
抄録

本研究の目的は、医療的ケアが必要な障害児を育てる母親の事例を通して、母親の蓄積的疲労の変化とその特徴を明らかにすることである。2015年6月から2016年2月の間、対象の属性、養育・環境要因、蓄積的疲労徴候インデックス(以下、CFSI)、自由記載を約2か月毎に質問紙を用いて調査を行った。対象は、医療的ケアが必要な障害児の母親6名で、年齢は37.50±6.51歳、就労ありが3名、就労なしが3名であった。児の年齢は4.72±1.78歳で、児の医療的ケアの内容は、在宅酸素療法3名、経管栄養1名、胃瘻5名、吸引6名、吸入2名であった。対象者のCFSI特性項目群別平均訴え率の結果、7つの分類で一般女性の平均値を上回っていた。蓄積的疲労の年間変化では、どの時期においても一般女性の平均値を上回っている対象者が多く、年間を通して常に蓄積的疲労を感じていた。自由記載からは、児の健康状態で母親自身の疲労やストレスの変化を自覚している対象者が多く、個々の状況やニーズに添った多角的な視点からのサポートが重要と考えられた。

著者関連情報
© 2018 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top