日本重症心身障害学会誌
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O-1-H17 18トリソミー児の呼吸器離脱までの1事例
丸橋 朝奈上村 ひろみ
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2018 年 43 巻 2 号 p. 277

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抄録

はじめに 出生後、心身中隔欠損閉鎖術を受け、24時間の呼吸器装着を余儀なくされた18トリソミーの男児に対し、母親は、「抱っこしてあげたい」「外出や外泊を増やし家族の思い出をたくさん作りたい」との想いがあった。その想いに寄り添うために、呼吸器離脱が可能な状態であることを確認し、離脱時間延長を試みた。結果、安全安楽な離脱環境を提供できたことで、児と母親そして職員との関わりが拡大し、外出や外泊の機会を増やすことができた。その医療と看護の実践を報告する。 事例紹介 6歳男児、18トリソミー、慢性呼吸不全、心室中隔欠損症術後。夜間呼吸器管理。看護の実際人工呼吸器装着時に、呼吸器の実測モニター画面で(1)自発呼吸の確認(2)体重に応じた1回換気量が45〜75ml以上、呼吸回数は30回/分前後であったが、呼気二酸化炭素分圧は31〜38mmHg、動脈血酸素飽和度は95〜100%と保たれていたことから、離脱が可能ではないかと考えた。平成29年2月17日に呼吸器の設定変更(酸素濃度を28%から25%、呼吸回数を25回/分から20回/分)。2月20日に呼気終末陽圧を5から4へ変更、呼吸状態に変化がないことを確認、1時間の離脱を開始した。2月27日から2時間、3月13日から5時間、9月20日から9時間、10月30日から16時間と段階的に呼吸器離脱を行うことができた。 結果 離脱中は、呼吸回数20〜27回/分、酸素飽和度97〜100%、心拍数60〜80回/分、呼気二酸化炭素分圧34〜37mmHgと保たれていた。離脱後に初めての散歩に出かけ、出発前は眠っていたが外に出た途端覚醒し、周りをキョロキョロと見ていた。その後、自宅へ4泊5日の外泊も可能となり、家族と仮面ライダーの映画を見に行くことができた。外泊の様子について母親は「テレビをじっと見たり、お姉ちゃん達にたくさん遊んで貰ったり、とても楽しそうにしていました」と話され、自宅で機器を気にすることなく、母と児がゆっくり過ごせる時間を提供することができた。

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