日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P-2-G13 人工呼吸器装着患者の療育参加を促す取り組み
−アンケートから見えてきた参加を促すことができた要因−
橋本 和彦松崎 博子栗原 紀子
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2017 年 42 巻 2 号 p. 301

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抄録

はじめに Aセンター重症心身障害児(者)病棟では、人工呼吸装着患者は個別療育が中心で病室で過ごすことが多かった。人工呼吸器を装着していても刺激のある豊かな生活が送れることでQOLの向上につなげていきたいと考え、集団療育への参加を促す取り組みを行った。その結果、一昨年度の人工呼吸器装着患者の集団療育への参加回数合計108回から昨年度153回に増加した。そこで1年間の取り組みに対するアンケートを看護師に行い参加を促すことが出来た要因が明らかになったので報告する。 方法 2017年5月20日〜31日Aセンター重症心身障害児(者)病棟看護師21名に無記名自由記述によるアンケートを倫理委員会の承認を得て行った。回答の内容を類似性で分類し検討した。 結果 集団療育に参加できた要因として、パートナーシップ・ナーシング・システム(以下、PNS)の導入、療育に対する意識の向上、生活指導員との連携、参加しやすい日時の設定、チーム活動としての取り組み、中央配管増設など環境面の改善に分類された。 考察 集団療育参加を促すことができた要因としてPNSを2016年に導入し、今まで1人で行っていた重症心身障害児(者)のケアがペアで行えるようになり、移動や移乗、準備が安心して行えるようになった。導入前は業務調整を各自がリーダーに相談していたが、導入後はリシャッフルを行いペアやグループで補完し合えるようになった。PNSを導入したことで看護師の身体的・精神的負担が軽減したと考える。今後もPNSの成果を活かしながら療育参加を促す取り組みを継続していきたい。またチーム活動として取り組み、生活指導員と連権を図り、療育参加しやすい日時を設定し、看護師の中から療育係を決めたことで、療育に対する意識向上につながったと考える。今後は参加することだけを目指すのではなく、療育中の様子を記録に残しスタッフ間で共有し評価していくことで、個別性のある療育を行い患者のQOLの向上につなげていきたい。

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