日本重症心身障害学会誌
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Print ISSN : 1343-1439
シンポジウム2:災害時の重症心身障害児(者)への支援
災害時におけるビジターコーディネート
片桐 公彦
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2013 年 38 巻 2 号 p. 234

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抄録

新潟県は2004年7月の新潟・福島豪雨、同年10月の中越地震、2007年7月の中越沖地震さらにはたび重なる豪雪など多くの災害に見舞われている。私自身はそのたびに、障害福祉施設を中心に支援活動に参画していた。 1996年に起こった「阪神淡路大震災」をきっかけに多くの市民が復旧・復興に関わった。それは日本における「ボランティア元年」と呼ばれ、それを契機に超党派による議員連盟が発足され、のちに「特定非営利活動促進法(NPO法)」が成立したことは有名な話である。 4つのプレートの上で、危なっかしく、まるで「地震の巣」で暮らしているわれわれにとっては震災への対応はまさに「通常のできごと」として捉えていくべきである。そして震災が実際に起こったとき、誤解を恐れずにいえば、震災が発生したことによって市民活動が活発化された歴史的な背景が語るように、震災の復旧・復興を通じて、私たちは今、立っている仕事の関わりの専門性を深め、今日に至っている、そんな気がするのである。 そんなことを前提にして、私たちには確立しなければならないテーマがある。「災害時におけるビジターコーディネート」である。多くの震災を通じて、普及・復興には外部からの支援を前提に組み立てなければ成立しないことが明らかになってきた。ここでいう「外部からの支援」とは国からの財政的な支援という大きな枠組みから、草の根のボランティアというミクロでローカルな取り組みまでを指すが、ここでは福祉施設において多くの専門家が、被災地域、施設に支援に入ることを指している。 このシンポジウムでは、災害規模に比例して投入される「外部支援者(ビジター)」の行動特性、心理特性をふまえたコーディネートの必要について論じてみたい。 略歴 片桐公彦 1975年4月19日生まれ(38歳) 社会福祉法人りとるらいふ 理事長 1998年 淑徳大学社会学部社会福祉学科 卒業 (福)上越つくしの里医療福祉協会 2002年 上越市役所健康づくり推進課    ボランティア団体「障害者の余暇活動を支援する会りとるらいふ」代表 2003年 NPO法人くびき野NPOサポートセンター 2004年 りとるらいふをNPO法人化 理事長  2010年 現職 

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