2000 年 25 巻 p. 11-18
経済成長に金融深化が必要であるという理論は1980年代から存在していたが, 現実に東南アジア諸国では通貨危機後景気が低迷しており, 金融深化の効果に対する反論が出てきている.本論文は, 東南アジア諸国の金融制度の特徴である未組織金融の存在が, 資金の効率的配分の桎梏になっているということを指摘し, 継続的な経済成長にはやはり金融深化が必要であることを明らかにする.また, 金融自由化の実施方法・順序, および消費者信用市場の整備が継続的な経済成長に必要であることを, 日本経済の高度成長時とASEAN4カ国との金融環境を比較する事で明確にしている.