名古屋文理大学紀要
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形態性・機能性を考慮した高齢者に対するパンの開発
江上 いすず
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2010 年 10 巻 p. 109-114

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抄録

高齢者の低栄養や骨粗鬆症予防は,要介護状態にならないようにするための重要な課題である.本研究では、健康な高齢者に対して形態性・機能性を考慮したパンの開発を行うことを目的とした.予備実験を重ねた結果,(1) 大豆製品である粉末おから(8%)と酵豆粉(6%)を配合したおから・酵豆粉食パンは粉末グルテン(6%)を補うことで,酵豆粉の保水力の向上も加味して,比容積は3.8,重量減少率は9.9%で,強力粉のみのソフト食パンと比べ膨化状態はほぼ変わらなかった.(2) おから・酵豆粉を配合した食パンは,市販食パンよりは適度に歯ごたえがあり,凝集性(0.83)は大きく,口中でまとめやすいテクスチャー特性を保持していた.また,市販食パンに比べてたんぱく質や食物繊維,カルシウムが多く含まれ,反対に脂質やナトリウムが少ない傾向を示した.(3) 高齢者対象に官能検査を実施したところ,おから・酵豆粉食パンはもちもち感(p=0.034)があり,風味(p=0.066)や総合的評価(p=0.066)でよい傾向を示した.今回開発したおから・酵豆粉食パンは高齢者に対して形態的・機能的に優れた傾向を示し,嗜好的にも好まれる傾向が示された.

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© 2010 名古屋文理大学
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