本研究では、学習内容の理解を目標として、①学習した内容に関する知識表象を変化させる操作を促す発問をして解決させること、さらにその前後で、②教えられた内容を自分の言葉で説明し直させることの2つの指導枠組みを導入する授業を提案した。そして、小学5年理科「電流の働き」を単元とした授業事例を示し、学習者の思考プロセスを、取り入れた2つの指導枠組みの観点から分析した。その結果、以下のような指導枠組みの効果が示された。第一に、学習した内容に関する知識表象の柔軟な変形は自発的には生じにくく、発問によって促されることが明らかとなった。第二に、そうした知識表象の変形とそれに伴って知識が精緻化されていくことは、説明活動をすることによって学習者自身にも自覚されていた。 第三に、意識された知識はよりよく保持され、のちの問題解決に適用されることが示唆された。