中央教育審議会答申で子どものメンタルヘルスの課題が顕在化していることが指摘され、事実、疾病負荷を示すDALYs値は、15歳から30歳において男女ともに低いものの、精神疾患が大部分を占めている。このような状況を受け、新学習指導要領では保健教育として精神疾患の理解教育が含まれることが決まった。他方、保健管理では、就学時の健康診断を義務付けているが、検査項目に精神状態は含まれておらず、また、学校医の多くは精神科医ではない。父母を含む一般人口のメンタルへルスリテラシーが十分でない中で、学校保健において重要になるのは、精神保健、精神疾患、精神科医療などに関する情報をいかに取り入れ、伝え、そして、連携を図るかである。一方、米国においては、このような問題に対して遠隔精神医療を用いた取り組みが活発化している。 筆者らは、これらを参考に、本邦にある学校と児童精神科医などの専門スタッフをインターネットを用いて繋ぎ、オンライン健康相談を提供するWelcome to talkというサービスを展開している。 オンライン健康相談は、インターネット環境があれば、いつでもどこでも受けることを可能にし、加えて、教員の働き方改革が叫ばれる中で、必要なときに専門スタッフが学校と協力して子どもに寄り添うことができる。 ここでは、子どもたちを取り巻く環境を諸家の知見を交えながら概観し、子どもたちがより健やかに成長できる社会について考えていきたい。