2011年3月11日に起こった福島での原発事故とそれに続く放射能の土壌汚染や人体への影響により、「原発」は世界的に、とりわけ日本において深刻な問題となった。本論は、2006年のドイツ映画『みえない雲』を用い、日本のドイツ語教育において「原発」のテーマを扱う意義を取り上げる。まず、異言語教育において映画を導入する意味とその効果について、ランデスクンデの教授、動機づけの方略、さらには「聴く」、「話す」、「読む」、「書く」と並ぶ第5の能力としての視聴覚理解の養成という観点から論じたい。次に、映画の場面を選ぶ際の基本方針について説明する。最後に、実際の授業を想定し、関連する教授例や練習問題を提案したい。