皮膚温が急激に変化する場合を除けば、全身の温冷感申告値が平均皮膚温の関数で表されることが示されてきているが、個人差への対応が課題である。皮膚温の個人差は、定常・熱的中立時の皮膚温で基準化する方法が既に提示されているが、熱的中立状態からずれた場合の皮膚温の変化量に対する温冷感申告値の変化量(温冷感申告特性)の個人差をモデル化する必要がある。性格検査の得点と温冷感申告特性を関連付けることがその方法として考えられるが、多様な被験者についてのデータが必要であり、実験室実験のみでは難しい。そこで本研究では、平均皮膚温と前腕部皮膚温の相関の高いという知見を利用して皮膚温の測定を手首に限定することで、比較的簡易に多くの皮膚温と温冷感申告値のデータを生活の中で採取する方法を試みた。そして、この方法により多様な温熱環境条件下でのデータが得られること、この方法がモデル化に使用可能であることを示した。