悪化の一途をたどる都市温熱環境を考えるにあたり温熱環境を精度よく表現できる指標の構築が望まれる.人体の温熱環境を考えた際,人体と外部環境との熱交換を担うことから着衣の影響は大きい.本研究では,被験者実験により衣服の人体温冷感に及ぼす要素を考察し,さらに熱の授受に着目し衣服素材の熱・水分移動特性および日射特性の計測方法の検討を行い,人体の温熱快適性に与える影響の評価を試みた.熱・水分移動特性では異素材,幾何構造(織組織),外部環境への依存性について検討された.日射特性では,同一綿素材の日射反射率,透過率,吸収率を基に,異なる色による違いについて検討された.これら衣服素材の基本的特性から,熱の流れを把握し,人体熱収支における衣服素材の効果を定量的に捉えることができた.