日本保健科学学会誌
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交通遺児学生における死別後の二次的ストレッサーが精神的健康に与える影響
引沼 有香子矢嶋 裕樹坂野 純子
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2005 年 8 巻 2 号 p. 73-79

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抄録

本研究の目的は, 親との死別に伴うさまざまな困難をストレッサー(死別関連二次的ストレッサー)として捉え, それらが交通遺児の精神的健康にどのような影響を与えているのかを明らかにすることである。本研究の対象者は, A会主催の交通遺児学生のための集会に参加していた交通遺児高校生69名および同会が提供する学生寮に入居している交通遺児大学生51名の計120名とした。対象者には, 基本属性(性, 年齢), 死別後経過期間, 就学状況, 死別関連二次的ストレッサー尺度(Bereavement Secondary Stressors Scale : BSSS), General Health Questionnaire (GHQ)で構成される調査票を郵送し回答を求めた。BSSSの探索的因子分析の結果, 「経済的問題」「家事・役割の増大」「家族凝集性の低下」の3因子が抽出された。また, パス解析の結果, これら3つのサブスケール得点はGHQの分散の26%を説明していた。特に, 「家事・役割の増大」「家族凝集性の低下」が精神的健康と有意な関連性を示していた。これらの結果は「家事・役割の増大」「家族凝集性の低下」に焦点を当てた遺族支援の必要性を示唆するものである。

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2005 日本保健科学学会
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