日本保健科学学会誌
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脳卒中片麻痺患者の下肢に対するmirror therapyが足関節背屈機能と立位バランスに与える影響
永井 洋網本 和
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2014 年 17 巻 1 号 p. 25-31

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抄録

下肢に対する視覚入力のみのmirror therapy(MT)が脳卒中片麻痺患者の足関節背屈機能と立位バランスに与える影響について検討した。対象は初発脳卒中片麻痺患者16名とし,MT群8名とコントロール(CT)群8名に無作為に分けた。MT群では鏡を非麻痺側下肢が映るように設置し,非麻痺側の背屈運動を計100回行わせた。この時麻痺側下肢は動かさなかった。アプローチ前後で麻痺側足関節の一秒当たりの背屈角度(DFS)と姿勢安定度評価指標(IPS)を測定した。結果,MT群でDFSの変化率が有意に大きかった(p<0.05)。IPSの変化率は二群間で統計学的な差が見られなかった。結果から麻痺側下肢に対しても鏡像の視覚入力のみのMTによって,足関節背屈機能に対する即時効果が得られることが示唆され,麻痺肢の過剰努力を必要としないアプローチを考える上で意義深いと考えられた。

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2014 日本保健科学学会
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