2011 年 14 巻 2 号 p. 89-98
本研究の目的は,臨床における「看護師の自律性」の構成概念を帰納的に明らかにすることである。各臨床領域の専門看護師9名へ「看護師の自律性」について半構成的面接調査を行った。得られたデータを質的帰納的に分析し,自律性が発揮される際の態度や行動について特徴や変化を探り,構成する要素について概念化を試みた。その結果,〈倫理的意思決定〉,〈患者本人の意思決定の尊重〉,〈人間関係によるエンパワーメント〉,〈感情のコントロール〉,〈専門職としてのレディネス〉,〈専門家としての責任〉,〈看護師の裁量〉,〈共同と交渉〉の8サブカテゴリーが明らかになり,【患者擁護】,【他者との相互作用】,【専門職としての成熟】,【組織的活動】の4カテゴリーが抽出された。また,サブカテゴリーの〈人間関係によるエンパワーメント〉と〈感情のコントロール〉は,既存の自律性測定尺度の構成概念に含まれていないことがわかった。