2023 年 7 巻 4 号 p. 169-172
著作権法の令和5年改正では、過去の作品や一般の方が創作したコンテンツ等の円滑な利用を図るため、集中管理がされておらず、その利用可否に係る著作権者等の意思が明確でない著作物等を対象とする新たな裁定制度が創設された。この制度はデジタルアーカイブと密接に関係するものであり、利用することが可能な場面として、文化庁においても「過去の作品をデジタルアーカイブにする際に、一部の著作権者が不明であることや連絡がつかないことなどにより、権利処理ができない場合」を第一に挙げている。本稿では、著作権法の令和5年改正の沿革と、新たな裁定制度の概要・課題等について紹介する。