2022 年 6 巻 2 号 p. 82-85
一般的に、コンピュータのプログラムなどを利用して可視化されたデータは、ユーザーの客観的な分析を容易にするが、生身の人間の個々の体験の詳細や感情の揺らぎなどがこぼれ落ちてしまうことは否めない。一方で、データの「可視化」と、アートやドキュメンタリーにおけるインタビューを組み合わせることによって互いを補完し、「理解と共感」を引き出そうとする試みがある。本稿では、筆者が関わったアートプロジェクトである「核についてのいくつかの問い」と「東京大空襲証言映像マップ」を紹介し、データの可視化と個のへインタビューによる複合メディアの可能性を論じる。