東日本大震災では,厚生労働省から社会福祉施設に対し福祉避難所の役割を担うことが依頼通知されたが,福祉避難所の指定割合の低い現状では避難所として機能できるか疑問視される.本研究は,全国の介護保険施設,障害者自立支援施設に実施した防災・減災調査から,災害時の避難所としての意識と避難者を「受け入れない」理由について明らかにすることを目的とした.避難者の受入れは,介護保険施設が障害者自立支援施設より有意に積極的な受入れ姿勢を示した.また,避難者を「受け入れない」理由に関する自由回答分析の結果,『受入れ体制』『利用者サービス』『施設の安全性』『避難所になる想定がない』『受入れ避難者の選別』が抽出された.本研究では,施設側にほぼ一任される『利用者サービス』が抽出されたことに注目した.社会福祉施設を避難所として機能させるには,被災者を受け入れる施設利用者の不利益を最小限にできる対策,取組みが必須である.