1987 年 12 巻 2 号 p. 124-139
本研究は,精神年齢の等しい自閉症児と精神遅滞児各4名の全身性自己刺激行動と限局性自己刺激行動を適切な玩具遊びに変換していくうえでの,異なった強化随伴性に立脚する2っのDRA手続きの臨床的有効性を検討した。第1の手続きは適切な玩具遊びに感覚強化刺激を随伴提示するartif五cialDRAであり,結果は全身性自己刺激行動も限局性自己刺激行動も精神遅滞児では適切な玩具遊びに変換されるが,自閉症児では変換されないことを示していた。第2の手続きはそれぞれの自己刺激行動から検出・同定された感覚強化刺激を産出する玩具で適切に遊ぶ機会を与えるnaturalDRAであり,結果は自閉症児の全身性自己刺激行動も限局性自己刺激行動も適切な玩具遊びに変換され,それらの改善は特別の介入なしでも治療場面以外に般化・維持されることを示していた。本知見はnaturalDRAが自閉症児を治療していくうえで本質的な役割を演じていることを示唆する。