2011 年 13 巻 2 号 p. 31-37
瞬目の頻度や回数は,覚醒度や注意力,視覚負担を評価する生理的指標として利用可能である.本論文では,VDT利用時の瞬目を,無拘束で簡便に計測可能とする手法の検討を行った.すなわち,普及しているWebカメラからの映像を画像処理し,瞬目の判定を行う手法の検討を行った.著者らは,予備的研究において,取得した映像の眼領域および眼領域内の上眼瞼の動きをテンプレートマッチングを用いて追跡し,瞬目の判定を試みた.撮影解像度320×240pixel時の瞬目検出率は90%を超えた.しかし,撮影解像度を更に低く設定した場合,眼領域内の上眼瞼の追跡精度に低下がみられた.そこで本研究では,改善策とし,眼領域内の上眼瞼位置検出に代わる瞬目の判定手段の検討を行った.眼領域内の瞳孔画素数と虹彩画素数の和の時間的変化より瞬目の判定を行う手段,および本試作システムで計測した瞬目数を生理指標へ応用する可能性について検討した.