日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
ブリSeriola quinqueradiataにおけるマイタケGrifola frondosa粉末経口給与後の頭腎由来マクロファージ活性および生残率に及ぼす影響
石原 秀平 楠田 理一塚原 隆充三柴 徹
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2018 年 26 巻 1 号 p. 18-23

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抄録

免疫賦活効果が期待されるマイタケ粉末を混合した飼料を養殖現場のブリに311日間連続給与して,生残率に及ぼす影響について調べた.その結果,約45 mg体重/kg/dayを飼料に添加して給与することで,累積死亡尾数は無給与対照群に比べて有意に少なかった(P < 0.05).魚体重は試験終了時に無給与対照群と比べて約100 g の体重増が認められたが,統計学的な有意差は認められなかった.また,頭腎由来マクロファージのラテックスビーズに対する貪食活性は無給与対照群に比べて有意に増加した(P < 0.05).一方,室内水槽における追検証試験では,ブリにマイタケ粉末を48.5または91.6 mg体重/kg/ dayを28日間飼料に添加して連続給与することで,貪食率は試験開始7,14および28日後,いずれの給与量でも無給与対照群よりも有意に高値を示した(P < 0.01).本研究からマイタケ粉末の経口給与は,ブリのマクロファージを活性化させ,水産現場での死亡率を改善することが示唆された.

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2018 日本きのこ学会
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