サービソロジー
Online ISSN : 2423-916X
Print ISSN : 2188-5362
論文Abstract
Triggers for Modifying Dysfunctional Customer Behaviour
Uémoto Wataru
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2019 年 5 巻 4 号 p. 39

詳細
抄録

Journal of Serviceology Vol.3 No.1, pp.9-17, 2018.

従業員への暴言や過度な要求,購入前商品の破損といったサービスの場における逆機能的顧客行動が近年サービス・マーケティングにおいて論じられはじめている.いくつかの先行研究においてサービスの場における逆機能的顧客行動を生じさせないための顧客マネジメント手法について議論されてきている反面,顧客が実際にいかにして逆機能的行動を改善するのかについては研究上の関心がほとんど払われてこなかった.その結果として,顧客マネジメント手法の有効性や他の顧客からの影響に代表される顧客の逆機能的行動を抑制する他の要因が未だに明らかとなっていない.本研究では,何らかのサービスの場において直近3ヶ月以内に自らの行動を改善したことを自覚している顧客のテキストデータを主にテーマ分析によって明らかにすることを試み,結果として他の顧客の逆機能行動,他の顧客の規範的行動,他の顧客の否定的反応,他の顧客からの助言,従業員の配慮,従業員の警告,従業員の疲労という7つの逆機能的顧客行動の改善トリガーが明らかになった.また,逆機能的顧客行動の改善トリガーは大きく分けて他の顧客と従業員という2つの要素からもたらされることが明らかになるとともに,従業員よりも他の顧客のほうが逆機能的顧客行動の改善に貢献することが検証された.そして,これらの結果からはサービスの場における逆機能的顧客行動が与える好ましい側面が存在することと,サービスの場における企業の顧客マネジメントの手法には限界あることが示唆された.

和文概要:上元 亘(京都産業大学)

著者関連情報
© 2019 Society for Serviceology
前の記事 次の記事
feedback
Top