本論は,美術教育の初歩的な"感性・感覚・感受性"の共通性や差異を整理しようとする試みである。イマヌエル・カントの理論を読み解きながら,"感性","感覚"の定義を確認し,今日の美術教育における各々の意義や方向性を模索するものである。"感性"における"直観","感覚"に関連する"内感"や"外感"などの"感官",そして,"共通感覚",また,カント自身はあまり直接的に言及することのなかった"感受性"についての認識を深めることで,美術教育のみならず,人間形成の視点から教育全般についての視野を見つめ直そうとするものである。