山口医学
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報告
75歳以上高齢者の進行・再発大腸癌に対するベバシズマブ+XELOX療法の検討
久保 秀文長岡 知里多田 耕輔宮原 誠長谷川 博康
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2016 年 65 巻 2 号 p. 87-93

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抄録

今回われわれは75歳以上高齢者の進行・再発大腸癌に対してベバシズマブ+XELOX療法の効果について検討したので症例呈示も含め報告する.対象は当院でベバシズマブ+XELOX療法が3コース以上施行できた75歳以上高齢者の進行・再発大腸癌患者12例とした.(75?84;平均79.2歳),男性8女性4,初回StageⅡ(4),Ⅲ(3),Ⅳ(5),治療ラインは一次治療6例,二次治療4例,三次治療以降2例であった.対象とした転移・再発臓器は肺:5,肝:8,リンパ節:5,腹膜:3例であった(重複あり).初回投与後の治療効果はCR:1例,PR:5例,SD:1例,PD:5例,奏効率50%(6/12例),病勢コントロール率58.3%(7/12例),その後6ヵ月経過後の治療効果はCR:1,PR-SD:0,PD:11例となり奏効率・病勢コントロール率はともに8.3%(1/12例)と極端に低下していた.本レジメンでfailureした5例は次回レジメンにおける最良効果はPR:1例,他の4例すべてがPDとなりその後BSCへ移行した.初回SD以上の効果を示した7例中5例は倦怠感・食欲不振を中心とした副作用のため休薬・中断を余儀なくされており,全例が6ヵ月後の判定でPDとなっていた.75?79歳群の奏効率60%(3/5),病勢コントロール率80%(4/5),80歳以上群の奏効率42.3%(3/7),病勢コントロール率42.3%(3/7)と80歳以上群では治療効果の低下が見られた.高齢者の進行・再発大腸癌患者においてもベバシズマブ+XELOX療法による治療効果は期待できるもののいかに投与継続していくかが重要な課題である.

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© 2016 山口大学医学会
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