西日本皮膚科
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症例
黄色爪症候群の 2 例
―― 本邦報告 49 例の臨床的検討も含めて ――
山村 里恵敷地 孝法稲山 真美柿内 聡司仁木 敏之井上 利之
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2024 年 86 巻 2 号 p. 143-150

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抄録

黄色爪症候群(yellow nail syndrome,以下 YNS)の 2 例を経験した。症例 1 は黄色爪,慢性副鼻腔炎を合併しており,症例 2 は黄色爪,びまん性汎細気管支炎,慢性副鼻腔炎を合併していた。2 例ともクラリスロマイシン 400 mg/日,トコフェロールニコチン酸エステル 600 mg/日の内服に変更後,黄色爪はわずかずつ改善傾向だった。その後,症例 1 の患者に突然,下腿浮腫と労作時呼吸困難が生じ,胸部 CT で両側胸水,心囊液の貯留がみられたため,胸水ドレナージを行い,利尿薬で治療中である。2000 年から 2022 年までに本邦で報告された YNS と自験例 2 例を含めた 49 例を検討したが,YNS の病因は未だ不明であり,治療法は確立されていない。胸水やリンパ浮腫コントロール不良による死亡例もあり,われわれ皮膚科医も気を付けておくべき疾患ではないかと思われる。

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© 2024 日本皮膚科学会西部支部
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