西日本皮膚科
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治療
患者主体の評価を基にしたベシル酸ベポタスチン(タリオン®錠)の慢性蕁麻疹患者に対する臨床的有用性と患者QOLに及ぼす影響
—慢性蕁麻疹の各症状はどのように改善されるか—
窪田 泰夫森上 徹也中井 浩三松岡 由恵横井 郁美丹生 名都子宮本 泉松田 保史米田 耕造
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2007 年 69 巻 5 号 p. 554-560

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抄録

ベシル酸ベポタスチンは第2世代抗ヒスタミン薬で,各種のアレルギー性疾患に優れた臨床効果と高い安全性が示されている。今回,われわれは20例の慢性蕁麻疹患者を対象に,ベシル酸ベポタスチン(1回10mg,1日2回)を原則4週間投与し,患者自らが記載する評価票を用いた患者主体の有用性評価ならびにQOLの変化を経時的に検討した。その結果,患者自身の評価によるそう痒および各臨床症状(「日中のかゆみの程度」,「夜間のかゆみの程度」,「発斑の出現範囲」,「発生頻度」,「持続時間」,また代表的写真を基に判定した「発斑の程度」の計6項目)に関するスコアは,初診時と比較して1~2週後には統計学的に有意な改善が認められ,その効果は投与終了時まで持続した。また,皮膚疾患特異的QOL尺度であるDLQI(Dermatology Life Quality Index)では,本治療により「人間関係」以外のすべての下位尺度のスコアおよび「総合」スコアにおいて有意な改善を示した。また包括的QOL尺度であるWHO-QOL 26では,本剤投与により「全体(的な生活の質)」の項目で有意な改善が得られた。以上のようにベシル酸ベポタスチン治療により患者中心の評価において臨床症状の有意な改善が得られ,さらには患者QOLの改善効果も得られたことから,本剤が慢性蕁麻疹治療の第一選択薬となりうるものと考えられた。

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© 2007 日本皮膚科学会西部支部
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