西日本皮膚科
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症例
皮膚リンパ管型スポロトリコーシスの1例
—外用·内服ステロイドと潰瘍化が関与したと考えられる1例—
宮脇 さおり磯村 巌榊原 代幸森田 明理辻 卓夫
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2003 年 65 巻 3 号 p. 266-268

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抄録

56歳女性。飼い猫に右前腕を引っ掻かれ,一度傷が治癒した後,右前腕のびらんを伴う丘疹に気付き近医を受診し,ビダラビン外用,抗生剤の外用·内服するも軽快せず,右上腕にも皮内から皮下の結節が飛び石状に拡大した。その後他院でステロイド剤外用·内服を約3ヵ月行われたが,急速に結節が潰瘍化したため当科紹介受診となった。臨床所見は,右前腕及び上腕に紅色結節を認め,中央は潰瘍化していた。右上腕の病理組織学的所見では,真皮浅層から脂肪織にリンパ球を主体とした,mixed cell guranulationの像を呈し,グロコット染色では遊離胞子を認めた。サブローブドウ糖寒天培地にて,37度で培養したところ,表面灰白色短絨毛状円形集落を認め,スライドカルチャーでは隔壁を有する枝分かれする菌糸と菌糸側壁または先端に,花弁状に生じる分生子をみた。以上の臨床所見·病理組織所見·菌学的所見から,Sporothrix schenckiiによるスポロトリコーシスと診断した。イトラコナゾール100mg内服し,約2ヵ月で瘢痕を残し略治した。

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© 2003 日本皮膚科学会西部支部
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