西日本皮膚科
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滋賀県下における皮膚糸状菌相
広永 正紀
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1989 年 51 巻 6 号 p. 1174-1177

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抄録

滋賀県守山市に在る一皮膚科診療所において, 昭和57年7月から同63年12月までの間におこなつた皮膚糸状菌分離培養の成績を報告した。全分離株数は3,609株で, その内訳はT. rubrum 2,808株(77.8%), T. mentagrophytes 672株(18.6%), E. floccosum 32株(0.9%), T. violaceum 7株(0.2%), M. canis 78株(2.2%), M. gypseum 12株(0.3%)であつた。滋賀県下におけるT. violaceum分離の報告はこれが初めてであり, 7例の内6例は同一感染経路によるもので, ある家族の子供二人とその祖母と母親, およびその子供達の遊び仲間である隣家の子供二人が罹患していた。M. canisは昭和60∼61年に大きな分離のピークがみられたが, そのなかに, 一匹の飼い猫が次々と人手を渡るうちに, これと接触をもつた子供や成人合わせて13名が感染した例があつたので, その概略をも報告した。

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© 1989 日本皮膚科学会西部支部
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