2005 年 71 巻 3 号 p. 307-317
トラフグ受精卵,ふ化仔魚及び稚魚をアリザリンコンプレクソン(5~100 mg/L)とテトラサイクリン(50~1000 mg/L)の溶液に 6-24 時間浸漬し,有効な処理条件を明らかにした。何れも稚魚期初期に有効処理条件の範囲が狭まる傾向がみられたが,処理不能な発育段階は認められなかった。標識処理に伴う成長や生残への影響はなく,標識は耳石研磨の必要もなく 5 年後も明瞭に確認できた。テトラサイクリンについては経口投与による標識法も浸漬法と同様に有効性が確認された。これら両物質を用いた多重標識により,複数の標識群の判別が可能となった。