富山湾奥部の浅海域では,アユ仔魚は10~12月に出現のピークを示した。仔魚の出現範囲は海岸線から沖合いほぼ2.5km以内に限られた。仔魚の標準体長(又は脊素長)範囲は3~22mmにあり,他の海域では報告例のまれな9~12mmの仔魚も多く含まれていた。体長10mm以上の個体は河口域に近い,海岸線から1km以内の海域で多く出現した。仔魚の主分布層は水深1m以浅に形成される塩分躍層より浅い表層であった。富山湾奥部河口域では,アユ仔魚は表層の河川系水中に降海・分布し,成長とともに岸寄りに移動し,砕波帯に出現するものと推定された。